ウイキョウ・妖怪召喚の蒸栗色(むしぐりいろ)
【学名】 Foeniculum vulgare Mill
【英名】 Fennel
【別名】 フェンネル、クレノオモ(呉の母)
【生薬名】 ウイキョウ(茴香)、カイキョウ(懐香)
【科】 セリ科
地中海沿岸が原産。ローマ時代から栽培されていたそうです。
日本には、平安時代に渡来しました。
「茴香」と綴るのが一般的ですが、もともとは「回香」。
回教徒(イスラム)が中国に伝え、それが日本に伝わったことに由来するという説、腐りかかった魚もこれをまぶすと食べられるようになった(回復した)からという説があります。
江戸時代中期に編纂された百科事典「和漢三才図絵」には「現在(江戸時代)、寧夏(寧夏回教自治区)に産するものを第一とする。(一番高品質である。)」とあります。さらに「そもそも臭い肉を煮るとき、これを少し入れれば臭気はなくなる。臭醤(=魚醤?)にも粉末を入れると香ばしくなる。それで茴香という。また俚俗では、よくこれを衿衽(えり)に 懐れて(いれて)おいて、取り出して咀嚼したりする。恐らく懐香という名はこれからきたものであろう。」などの記述があります。
ウイキョウの種は、実際、すっきりした甘さがあり、口の中がさっぱりしますね。インド料理店で、帰り際に口に含むようすすめられる種が、これです。
欧米ではフィッシュ・ハーブの異名をとるほど、魚料理によく使われるそうです。
「ギリシャ本草」(マテリア・メディカ )という書物には、茴香は「マラソン」と記されているとか。
マラソンレースで有名なマラソンの辺りに、茴香が咲き乱れていたことに由来するそうです。
乾燥させた種を生薬で「茴香」といい、芳香性の健胃剤として食欲を促進させるとともに、胃腸疾患にも効き目あり。
そしてなんと、ヨーロッパでは、ウイキョウの葉をいぶして妖怪変化を呼び出すために魔法使いが用いたと伝えられています!
日本の妖怪も呼べるかしら。水木先生〜!!
数年前の6月、友人が畑のウイキョウを分けてくれたので、煮出してみました。
爽やかな香りが広がって気持ちが華やぎましたが、もしかして、妖怪が出てくるか?とちょっと心配ななりましたね。
アルミで蒸栗色(むしぐりいろ)、銅と鉄で木蘭色(もくらんじき)から油色(あぶらいろ)。
タンニン質が少ないのでしょうか、強い魔力に反してどの色もあっさり味の柔らか色。鉄でも黒っぽくはなりませんでした。
俳諧では、花が「花(魂香花(こんこうか)」「呉(くれ)の花」として夏の季語。
実(茴香子(ういきょうし)など)は秋の季語。
花言葉は「賞賛に価する」「力量」「よい香り」。
6/25・10/9・10/25の誕生花。
◎参考サイト / 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/フェンネル
・http://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.pfaf.org
・http://members.jcom.home.ne.jp/tink(閉鎖)
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」第99巻 寺島良安 / 著 島田勇雄/竹島淳夫/樋口元巳 /訳注 平凡社
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