タンキリマメ・日常の幸せは藍海松茶(あいみるちゃ)
【学名】 Rhynchosia volubilisLour.
【別名】 ウイロウマメ、キツネマメ、キンチャクマメ、ノミマメ
ノササゲ
【生薬名】 鹿藿(ロクカク)
【科】 マメ科
関東南部から沖縄、台湾、フィリピン、朝鮮半島、中国に分布。
学名のRhynchosiaは、ギリシャ語のthynchos(くちばし)」が語源。
volubilis は「ねじれた」、acuminatifolia は「先が長くとがった葉」の意味。
ツルは右巻き、葉は三つ葉。小葉はクズ(葛)の葉をミニチュアにしたような、丸みを帯びた菱形をしています。
夏から初秋にかけて淡黄色の花が咲き、その後赤いサヤの豆果がつき、豆(種子)は熟すと黒くなります。この風情がなかなかかわいい❤️
この種子は、風に飛ばされることはなく、サヤの縁に付いたままになり、鳥に食べられることによって散布されるのだとか。赤いサヤをバックに黒く熟すことで、鳥に見つけてもらいやすくしているんですねぇ。
和名は「痰切豆」。豆や葉を煎じて飲むと痰が切れるところから。
中国で薬用にされており、「茎と葉は鎮痛,解熱作用があり,頭痛,腹痛,産褥熱などに用いる。できもの,はれものには煎液を外用する。種子はジフテリア,扁桃腺炎に服用し,角膜白斑には煎液を外用する。」という記述が見当たります。
が、効能については疑問視する説も。
和漢三才図会でも「よく痰をとおすといわれるが、『本草綱目』にも(痰を切るという)効能の記載がなく、効能があるか分からない」といった記述があります。
効能については別名「ウイロウマメ」にまつわるエピソードが関わっているかもしれません。
ウイロウマメは「外郎豆(ういろうまめ)」。外郎とは室町時代にはすでに京都で製造販売され、江戸時代には万能薬として有名だった銀箔で包まれた銀色の丸薬。中は黒く、これがタンキリマメに似ていたため効能まで混同された、とも考えられるそう。
うーん、私は信じたい、タンキリマメの効能を信じたいっ! 一応「鹿藿(ロクカク)」という生薬名もあるみたいだし。これはもう自分のカラダで実験するしかないな。
種子を救荒食やコーヒーの代用として使用することもあるのだとか。だとしたら、なんの効能もない・・・ということはないんじゃないだろうか。
最近庭に出没し始めたので、煮出してみました。
アルミで焦香(こがれこう)から枯茶(からちゃ)、銅で肥後煤竹(ひごすすたけ)、鉄の藍海松茶(あいみるちゃ)がなかなか粋!
絹との相性がよいようです。
花言葉は、「成長」「長寿」「日常の幸せ」。
日常の幸せをお手伝いする役立つカワイイつる草として、私はここに認定します。(笑)
◎参考サイト / 文献
・http://www.hana300.com/
・https://ja.wikipedia.org/wiki/タンキリマメ
・https://www.shigei.or.jp/
・https://hananoiwaya.jp/
・https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第104巻 平凡社
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 3」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
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