« 2024/12/18 | トップページ | 2024/12/24 »

2024/12/19

2024/12/19

ナラタケモドキ・日陰者の白橡(しろつるばみ)

Naratakemodoki01 Naratakemodoki03

【学名】  Armillaria tabescens (Scop.) Emel
【別名】  オリミキ、カワギノコ、サワモタシ    
【科】     タマバリタケ科 


嗚呼、ついに手をつけてしまった。

キノコ。

染色の世界では、キノコを含めた「日陰者」の染めはヨーロッパを中心に発展しています。
学生時代に授業で乾燥した「パペリージョ」というキノコで黄色を染める実習はしたことがあるのですが、ググっても全然ヒットしません。試しにpaperillosとあっているんだかわからないスペイン語のスペルで検索すると、なんか怪しいタバコ風の嗜好品が出てきました。
実は危ないものだったのか?!

庭のアンズの木が枯れてしまってしばらく経ちますが、ふと根元を見たところ、たいへん勢いのあるキノコの群生を見つけました。
香りはシイタケのそれ。それなりに肉厚で美味しそう。

さっそくFBに「これ、なんというキノコか教えてください」と投稿すると、親切な朋友からいろいろなお返事がいただけました。
本当にありがとうございました!!
おかげさまで、この子が「ナラタケモドキ」であることが判明し、食用にもなるとわかったのですが、見つけるのがちと遅かった。すでに傘裏が褐色に変色していて、食べて美味しいレベルではないことがわかったので、染めてみることにしました。

ナラタケによく似たところから「ナラタケモドキ」の名があります。
ナラタケと生態はよく似ており、ユーラシアと北アメリカ、アフリカなどに広く分布するようです。

学名のtabescensはラテン語で「やせおとろえた」の意味。日陰者たち、扱いが気の毒。

主に秋の広葉樹の枯れ木やその周辺の地上に群生します。
傘は黄褐色や淡黄色で中央に細かい鱗片と周囲に条線があり、ヒダが白色、柄にはしっかりした白いツバがあるのがナラタケで、ないものがモドキだそう。
Naratakemodoki04( 写真出典)

日本では食用キノコとして人気があり数多くの地方名もあります。

名前からもわかる通りコナラ、ミズナラなどの広葉木に寄生します。
厄介なのは、サクラ、モモ、ナシなどに寄生すると、その木を枯らしてしまう病原性をもつということ。

そうか、そのせいでうちのアンズは枯れたのね・・・。

世界中で食用とされていますが、過食、生食は中毒を起こすことがあるので注意。

日本では汁の実、炒め物、煮物などで各地に多くの郷土料理が存在します。
次は、目を光らせて新鮮なものをゲットするぞ! 「染」より「食」優先!

煮出してみると、ほっこりした香りとともに、トロみのある赤黒い液になりました。
ところが、糸にはほとんど色が移らず、どれもあっさり味。ウールと相性がいいようですが、アルミでほとんど生成りに近い練色(ねりいろ)、銅で白橡(しろつるばみ)、鉄でもちっとも黒くはならず灰汁色(あくいろ)どまり。

染めていて「ヤッタァ」感はないのですが、織り糸ととしては大変重宝な色合いです。

次は新鮮なもので試してみます。
鎌倉染色彩時記、キノコ編、開幕。

キノコにも花言葉は存在するようで、キノコ全般には「疑い」という花言葉があるんだとか。
近種のナラタケの花言葉は「一筋縄ではいかない」。

確かになぁ。


◎参考サイト/ 文献

https://ja.wikipedia.org/wiki/ナラタケモドキ
https://naturalism-2003.com/
https://kinokobito.com/
https://ippon.sakura.ne.jp/
https://note.com/menderu68/n/n457ebbd25b94

・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館

 鎌倉染色彩時記 植物一覧はこちら

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

| | | コメント (0)

« 2024/12/18 | トップページ | 2024/12/24 »