カキドオシ・病退散の藍媚茶(あいこびちゃ)
【学名】 Glechoma hederacea var. grandis, Glechoma grandis,
【英名】 Alehoof , Gill Over The Ground, Ground Ivy, Field Balm,
Runaway Robin, Creeping Charlie
【生薬名】 連銭草(れんせんそう)
【別名】 カントリソウ(疳取草)、カンキリグサ
【科】 シソ科
ついに、念願のカキドオシの試染ができました! 生薬としても名高く、これをまだ染めていないことがずっと心に引っかかっていたのです。ついに視線に十分な量が採れる群生を見つけました!
ヨーロッパ及びアジア原産。
日本では北海道・本州・四国・九州に広く分布し、海外では朝鮮半島、中国、台湾、シベリア、アジアの温帯域に分布します。
原野の草地、野原、土手、道端、畑のわき、庭などに旺盛に繁茂しています。
ヨーロッパからの入植者がその後北米にも持ち込み、今では世界各地の温帯地方に帰化しているそうです。
和名カキドオシは「垣通し」。
垣根を突き抜けるほど、勢いよく伸びてくる様子に由来します。
葉は腎臓形で葉の縁に鈍い鋸歯があって、これを丸みを帯びた「銭」に見立て、葉が茎に連統してついていることから、生薬名の連銭草(れんせんそう)の名が付きました。
古くから生薬としてその効能の高さで知られています。
利尿、消炎薬として黄疸、胆道結石、腎臓結石、膀胱結石などに用い、血糖降下作用も高い。
とくに糖尿病治療薬として知られていて、副作用が認められない薬草として、1968年に日本生薬学会でその効能が発表されました。
別名のカントリソウ(疳取草)は、子供の疳の虫に効くことから。
ヨーロッパでも古くからロンデット(Rondette)、ロンデロット(Rondelotte)の名で民間薬として広く使われてきた歴史があり、8世紀の医学書にも名前があるそうです。
和漢三才図会にも「大熱・悪瘡・癰疽(ようそ)・丹毒に、搗いてできた汁を塗る」の記述が見当たります。
いつも思うことですが、先人の鋭い好奇心と観察力、たゆまぬ実験で積み上げたデータには脱帽です。今と違って「死」と隣り合わせの生活をしていた時代は、身の回りにあるものへ向けられる観察眼が今とは比べ物にならないほどの高性能だったんですね。
さっそく私も干してお茶にしました。クセがなく飲みやすいです。
試染では、採ってきた葉とツルを新鮮なうちに煮出しました。ほんのりとカンゾウに似た甘い芳香が漂います。
見た目はなよっと優しい印象のカキドオシですが、やっぱり垣根も通すぐらいの生命力が隠れていたとみえて、少量でも赤黒い濃い色の液に。
アルミで黄唐茶(きがらちゃ)から空五倍子色(うつぶしいろ)、銅で梅幸茶(ばいこうちゃ)や璃寛茶(りかんちゃ)。
鉄ででた透明感のあるキリッとした藍媚茶(あいこびちゃ)が特筆すべき美色。
花言葉は「楽しみ」「享楽」。
晩春の季語。
5月28日、6/12の誕生花。
◎参考サイト/ 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/カキドオシ
・https://www.hana300.com/
・https://www.pharm.or.jp/
・http://www.e-yakusou.com/
・https://pfaf.org/
・https://kusukinomori.com/
・https://greensnap.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」第93巻 寺島良安 / 著
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載