ヤブミョウガ・暑気払いの黒緑

【学名】 Pollia japonica
【英名】 Japanese ginger,Myoga
【別名】 ハナミョウガ、 ミョウガソウ
【科】 ツユクサ科
お茶のお稽古に通い始めて1年ほどになります。毎回、野草を用いて先生が活けられるお花がとても楽しみですが、「夏はお花が少なくてねー」とおっしゃいます。
確かに暑い夏に花を咲かせるというのは、植物たちにとってもかなりの胆力がいることでしょう。
それでも先生はヒメヒオウギズイセン、ミズヒキなどを見つけては、涼やかに活けられる。素敵です。そんな先生が「ヤブミョウガも夏の茶花になりますよ」と教えてくださいました。
たしかに、白い小花がタワーのように咲く様は、暑い夏に涼を感じさせてくれますね。
学名のPolliaは、1781年にこの植物を命名したオランダ人ブァン・デル・ポルにちなむそうです。
ヤブミョウガの仲間は、アジア、アフリカなどの赤道付近の熱帯、亜熱帯に広く分布し、パナマには固有種があるとか。
Pollia japonicaは、関東、九州、朝鮮半島、台湾、中国に広く分布。
(沖縄にはコヤブミョウガ( Pollia_miranda)が自生する。)
鎌倉でも湿気の多い谷戸の日陰によく群生を見つけることができます。
和漢三才図会には「杜若」のつづりで「やぶしょうが」と読ませて記載されていました。
現代では「杜若」はカキツバタと読むのが一般的ですが、著者の寺島良安は「これは大きな誤りである」と記しており、根が膀胱、腎臓の病に効く、とあります。
5月〜6月の若い芽は、天ぷら、おひたし、汁の実などで楽しめます。
夏の終わりに(って、今年は6月から咲いておるぞ) 白い小ぶりの花をつけ、実は秋に青黒く熟します。
花のついた全草を煮出してみたところ、アルミで明るい利休茶、鉄で利休、特筆すべきは銅媒染の黒緑。どの色も大変堅牢。
特にウールの染まりが良いように思います。
花言葉は「報われない努力」「謙譲の美徳」「苦しみを和らげる」。
8/5の誕生花。

◎参考サイト/ 文献
・https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤブミョウガ
・https://en.wikipedia.org/wiki/Pollia_(plant)
・http://www.e-yakusou.com/
・http://www.hana300.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第93巻
(C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房 禁転載
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