シャリンバイ・黒を輝かせる唐茶色
【学名】 Rhaphiolepis indica var. umbellata,
Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino
【英名】 Indian Hawthorn, Yeddo Hawthorn, Japanese Hawthorn
【別名】 ハマモッコク、テーチ、テーチギ(奄美大島)、 テカチ(沖縄)
【科】 バラ科
日本原産の常緑低木。
日本では四国から九州、韓国、台湾までの暖地の海岸近くに自生します。これが別名ハマモッコクの由来といえます。
海岸近くに自生できるのは潮風や大気汚染に強い性質を持つためで、庭木や公園樹として植栽されることも多いです。なので関東でも見ることができます。山形あたりが北限のようです。
変異が多く、マルバシャリンバイ、シマシャリンバイ、オキナワシャリンバイ(ホソバシャリンバイ)、アミバシャリンバイなど、種類多数。
学名のRhaphiolepis(ラフィオレピス)は、ギリシャ語のrhaphis(針)+ lepis(鱗片)」が語源。和名のシャリンバイは輪生する葉の配列の様子が車輪のようで、花が梅に似ることに由来します。
樹皮にタンニンが多く含まれることから、これを煮出した液で染色し、鉄媒染で得られる深い黒が奄美の黒大島紬を生み出しました。
(写真出展)
樹皮を煮出した液は、深いワインレッド色。鉄媒染する前は赤みの美しい茶色に染まります。
昭和38年(1963年)、オランダのベアトリクス王女の来日の際、長崎県の出島に植えた記念樹がバラとシャリンバイ。(オランダは世界有数のバラ育種国で、王室関連でも当時のベアトリクス王女にちなんだ品種(ケニギン・ベアトリクス)が存在することからバラが選ばれたのでしょうか)
生薬としての記述はあまり見当たらないのですが、ミソハギ科の生薬「指甲花」の代替薬として、毛染めに用いるという記述が見つかりました。
そうか、お歯黒の要領で白髪も染まるのかしら。絹糸が染まるのですから、イケるかもしれません。
熊本大学の資料には葉が消炎、潰瘍、打撲(外用)に使用されることが記されています。おそらくこれは、多く含まれるタンニンの作用を利用することで得られる効能ですね。
実はブルーベリーに似ていますが、食用には適さないようです。
材は硬く緻密で、木槌などをつくるとか。
木ノ実マイスターの友人が、山形で採取したというシャリンバイの実をくれました。染料として有名なのは樹皮ですが、実もなかなか。
1時間ほど煮出すと、液はうつくしいワイン色に。
アルミや錫で穴色(ししいろ)や洗柿(あらいがき)、鉄で墨色。
銅媒染の唐茶色が特筆すべき美色。
黒大島のあの「黒」は、深い赤茶に支えられていたのですね。
花言葉は、「愛の告白」「そよ風の心地よさ」「純真」 。
3/7の誕生花。 長崎県の県木。
◎参考サイト/ 文献
・http://ja.wikipedia.org/wiki/シャリンバイ
・https://www.hana300.com/
・http://www.e-yakusou.com/
・https://www.uekipedia.jp/
・https://lovegreen.net/
・https://gkzplant.sakura.ne.jp/
・https://morinokakera.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「葉っぱで見分け五感で楽しむ樹木図鑑」林将之/ 著 ナツメ社
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」大場秀章 / 監修
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
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