鎌倉・染色彩時記(染)

2017/02/09

ダイズ・神通力の抹茶色

Edamame01

【学名】  Glycine max Merrill
【英名】  Soy bean, Soya bean, Japanese pea
【別名】  マメ、アキマメ、コマナ、エダマメ
【生薬名】 香鼓(こうし=黒大豆)
【科】   マメ科

中国原産。
古くから栽培されており、「五穀」に数えられています。
◆「五穀」
◎稲・麦・粟・大豆・小豆(『古事記』)
◎稲・麦・粟・稗・豆(『日本書紀』)

ヨーロッパには18世紀、アメリカには19世紀初頭に伝わったとかで、あら、かなり最近なんですね。
そういえば、戦後すぐに、日本の醤油メーカーがアメリカで醤油を売り出そうとした時、「腐っているから許可できない」「バグ・ジュース(虫の汁)か?」などの言いがかりをつけられたといいます。
それを、身体に害のない成分であることを科学的に証明した論文を作成し、バーベキューをしている家庭にセールスマンが乗り込んで、実際に使ってみせたりと、まさに血と汗と涙の努力でマーケットに参入を果たしたのだそうです。
しかし、バグ・ジュースって・・・。知らないものに対する憎悪の念、怖いですね。
ワンピースのルフィみたいに、新しいものに出会うたびに、目を星にして「すっんげーっ、おもしれーっ」とわくわくしてみる寛容でポジティブな心は、いつも持っていたいものでございます。

Luffiy

戦後日本人の、この凄まじいまでの生きる力は、「生き残ってしまってすまない」という気持ちが根底にあるような気がしてなりません。この醤油の例に限らず、その自責の念が、今日の日本の基礎を作ったのではないかと、時々思います。

マメ科はツル性のものが多い中で、茎が直立するところからエダマメの別名が。
学名の「Glycine」は糖原性アミノ酸を指します。もとはギリシャ語の「glycys(甘い)」が語源。

書物に最初に登場するのは古事記で、スサノオノミコトがオオゲツヒメを殺めたところ、その遺体の、頭に蚕、目に稲、耳に粟、鼻に小豆、陰部に麦、尻に豆(大豆)が生まれたというエピソードが見られます。(すっんげーっ、おもしれーっ)

和漢三才図会には、現代ではそれぞれ区別されるマメが、総称してダイズとして扱われており、「黒・白・黄・褐・蒼・斑といった数々の色のものがある。黒いものは薬に入れてよく、また味噌や納豆に作る とよい。黄のものは豆腐に作るとよく、また油を搾って醤(ひしお=醤油)を造る、その他のものは炒って食べるぐらいである」という記述があります。
味噌は本来、黒豆で作られていたことが興味深いですねー。よーし、今年の味噌は黒豆で仕込むぞ!

節分の豆撒きでダイズを用いるのは、ダイズに鬼や悪霊を払うことができる聖なる力があるとされるため。マメを焼いてその年の吉凶を占う風習もあったそうです。
漁師が出漁の際にダイズをもっていくのも、海難などの災厄を払うためとされます。

漢方では特に黒大豆(黒豆)を用いる。完熟した黒大豆を発酵させて干したものを香鼓(こうし)といいます。他の生薬と配合して消炎、消化、健胃に用います。また炒った黒大豆をすりつぶしたものを酒につけたものを「豆淋酒(ずりんしゅ)」といい、冷え性、低血圧症に効果があるとされています。

昨年の夏は、在来種の種(たね)の普及活動をしている友人から、へっころ谷(ここのほうとうは、自家製のダイズで仕込んだ味噌が使われているのです)のダイズを手に入れたので、カジュの庭で育てました。作付面積がイマイチなので、余りたくさんはできませんでしたが、それでも700グラムほどのダイズが収穫できました。

収穫の終わった大豆の茎と葉を煮出してみたところ、アルミで白つるばみからクリーム色、 銅で抹茶色から柳茶色、鉄で海松色麹塵色

花言葉は、「親睦」。 秋の季語。

参考サイト/ 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ダイズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/五穀
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
・NHK番組「プロジェクトx 醤油 アメリカ市場を開拓せよ」

・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「色の手帖」小学館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第104巻
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会

 

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2017/02/05

アスナロ・打倒ヒノキの珊瑚色

Aomorihiba01

【学名】  Thujopsis dolabrata (Thunb. Ex L.f.) Sieb. & Zucc. (アスナロ)
      Thujopsis dolabrata var. hondae(ヒノキアスナロ=アオモリヒバ)
【英名】  Dolabrata, Hiba
【別名】  ヒバ, アテ, アスヒ
【生薬名】 羅漢柏(らかんはく=葉)  ※誤用が定着?
【科】   ヒノキ科 


本州から九州の山地に自生。日本特産種。
学名のThujopsisは「Thuja(樹脂を出すある常緑植物の古名)」+「opsis(似た)」の意。dolabrata は「斧の形をした」の意。

平安時代からアスナロの和名は、「明日は檜になろう」からきているという通説がありますね。和漢三才図会にも、ヒノキの項目の中に「阿須檜(あすひ)」の名前で、「檜の一種」と紹介されていますが「木芯はマキに似ている。器につくるが脂がでて佳くない。これは檜とただ一夜の差(ちがい)があるためであろう か。」とあります。

ところが、この俗説、実は誤りという説もあるのです。古名「アスヒ」は「アテヒ」が転じたもので、「アテ」には「高貴な、貴い」という意味があるといいます。あらら?

子鹿のバンビの作詞者・坂口淳氏の書いた童謡「あすなろのうた」。これで現代におけるアスナロの立ち位置は決定づけられた感がありますね。

「あすなろのうた」

あすなろ あすなろ あすはなろう

おやまの だれにも まけぬほど 

ふもとの むらでも みえるほど

おおきな ひのきに あすはなろう

あすなろ あすなろ あすはなろう

あめにも かぜにも まけないで

ぐんと そらまで とどくほど

おおきな ひのきに あすはなろう

あすなろ あすなろ あすはなろう

とうげを こえる ひとたちの

ひるは ひかげに なるような

おおきな ひのきに あすはなろう

この歌には「子供たちには、いかなる境遇に生まれ育とうとも檜をめざしてほしい」という願いがあるとかないとか・・・。

大きなお世話である。

アスナロがアスナロであることを、喜んで生きて何が悪い。人様に他のものを目指せなど言われる筋合いではない。なんたって、「高貴な檜」なのだ。ほっといて欲しい。

抗菌・殺菌作用で知られるヒノキチオールという成分は、実はヒノキにはほとんど含まれていません。

1936年(昭和11年)、台湾に自生する「タイワンヒノキ」の精油から、当時の台湾帝国大学に赴任していた日本人科学者・野副教授が、世界で最初に発見したヒノキチオール。
日本列島で、ヒノキチオールを含む主な樹木は、なんと、アオモリヒバ(ヒノキアスナロ)、エゾヒバ、ネズコの3種類。 どーよ、ヒノキ。

ヒノキチオールには、殺菌力、抗菌力のほか、皮膚の傷の収斂(しゅうれん)作用”や細胞の増強作用もあることも明らかになり、最近ではこれに着目した、養毛剤や基礎化粧品なども開発され、主に「医薬部外品」を中心に活躍の場が広がっているといいます。1989年(平成元年)から「食品添加物」としての使用も法律で認められました。

昭和20年代には、精油が肺結核の治療にも効果があることが証明されたそうです。生薬ではこの精油は「羅漢柏」の名で今でも「和漢薬」に掲載されています。
しかしながら、その後、戦後アメリカから大量輸入されたストレプトマイシンなどの安価な抗生物質が出回ったため、遅効性、高価である、などの理由でヒノキチオールは医療の現場から消えました。
現代では抗生物質の弊害もいろいろ取り沙汰されていますから、また、医薬品として見直される日が来るかもしれませんね。

タイワンヒノキやアオモリヒバといったアスナロの仲間は、耐水性や耐久性に非常に富んでいるため、 特に、神社仏閣の建立や再建、補修に使われてきました。

特にヒノキチオールを多量に含むアオモリヒバは、腐りにくくシロアリに強いことから、東北地方の歴史建造物に多く使われており、「中尊寺金色堂」もアオモリヒバで建てられているそうです。
ふーん、ヒノキじゃないんだ、ヒノキじゃ。

というわけで、アオモリヒバは、かつては津軽藩の貴重な財源であったとか。「ヒバ一本、首ひとつ」と言われるほど、藩による徹底した管理がされていたそうそうですよ。津軽では、江戸後期になるまで、建築材として庶民がヒバ(アスナロ)を使うことは禁じられていたといいますから、ほんと、徹底しています。

耐久性を活用した身近な例には、「鉄道の枕木」もありまして、長くクリノキが使われていたことは知られていますが、実は、日本で最初にできた地下鉄「銀座線(渋谷~浅草)」の枕木には、アスナロが使われたのだそうです。

参ったか、ヒノキ!  誰もが君になりたいわけではない。アスナロ、万歳!

友人が箱いっぱい送ってくれたアオモリヒバの葉と枝を煮出してみました。おおっ、ヒノキチオール満喫! そして染め上がった色は、鉄で海松(みる)色、抹茶色、銅で媚茶色、そして、アルミで出たのは、宍色(ししいろ)、珊瑚色と呼んでいい、きれいなパウダーピンク! 長年ヒノキと比べられて、さぞや歪んだ性格になったかと思いきや、こんな可憐な色を出してくれて・・・。涙
残念ながら、日が経つに連れ、少し黄色味がかってきましたが、いい香りとともに、とても幸せな気持ちにさせてくれました。

花言葉は、「永遠の憧れ」「変わらない友情」「不滅」「不死」。

 

参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/アスナロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒノキ
http://hanakotoba-labo.com/
http://www.kobayashi.co.jp/

・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「色の手帖」小学館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第82巻
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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2017/01/28

カキ・渋味のきいたカミサマ色

Kaki01

【学名】  Diospyros kaki Thunb.
【英名】  Persimmon, Kaki
【生薬名】 柿蔕(してい)=へた、柿餅(しべい)=実、柿根(しこん)=根 
【科】   カキノキ科

 

属名のDiospyrosは「神々の食べ物」の意。
和名の由来は、実や葉の赤い紅葉の様子から「アカキ」と呼ばれていたものが転じたという説、実の光沢から「カカヤク」が転じたという説、朝鮮語に由来するという説などいろいろ。

奈良時代ごろ中国から渡来したと考えられます。材は堅牢で、家具などに作られ、とくに黒柿は黒檀の代用にされていた歴史もあるそうです。が、一方折れやすいという面もあり、また、実が、甘いものが貴重だった時代に珍重され神聖視されたこととあいまって「柿から落ちると死ぬ」「柿を描く/食べる夢を見ると病人が死ぬ」などの言い伝えを生みました。

甘いものが氾濫している現代では、ちょっと想像しにくいですが、ポルトガルから砂糖が入ってくるのは桃山時代、しかもそのころは薬に近い貴重品。熟したカキの甘さはまさに神がかりだったのでしょう。

和漢三才図会には、柿に「七絶(7つの優れたところ)」があることが紹介されています。
曰く、
・寿命が長い
・木陰が大きい
・鳥が巣を作らない
・虫が食わない
・霜葉(枯れた葉っぱ)が美しく鑑賞にたえる
・果実が美味
・葉が滑らかで、臨書(ものを書き写すこと)に適する

7番目の「モノを書き写すのに適する」がちょっと不思議ですが、これも甘いものと同様、昔は紙が貴重品で、お習字の練習にいちいち紙を使っていたのでは、えらくお金がかかっていたことが伺えます。

日本語は、同じ音の言葉を違う漢字をあてて区別していますが、「音」が同じ言葉は、語源に共通性がある場合も多いです。全くの私見ですが、このカキの葉の特性に触れて、ふと、「かみ」も、もともとはすべて「神」に通じているのではないかしら、と思いました。言葉をとどめ、後世に伝える「紙」は、本来、とても神聖なものなのでしょう。そうそう、そういえば「髪」も女の命といわれてやはり大切にされるべきものですものね。

果実にタンニンが多いことから、柿渋は長く防腐・防水材として活用されてきました。
また柿渋は、止血・やけどやしもやけ・かぶれに患部に塗布するとよいそうです。

初夏になると、カキの木に若葉が出揃いますが、カキの若葉は、緑茶の約20倍のビタミンCをはじめ、脂肪や油を分解し消化を助けるタンニン、その他ケンフェロール、クエルセチン、グルコサイドなどが含まれており、ノンカフェインなので、蒸してから乾燥させてお茶にすることをおすすめします。血圧降下、血管透過性改善、止血に効能大です。みなさん、。どうぞ、今ぐらいからカキの木から目を離さないでください!(笑)
カキのへたを乾燥させたものを生薬では柿蔕(してい)といい、しゃっくりの特効薬とされています。干し柿は柿餅(しべい)、根は柿根(しこん)といい、吐血や下血を止める効果があります。

和漢三才図会でも「霜葉(枯れた葉っぱ)が美しく鑑賞にたえる」と絶賛されているように、柿の葉寿司に使われている紅葉した葉は、見ているだけで食欲をそそります。それだけでなく、タンニンとビタミンCにより、防腐効果もあるのですから、やっぱり神だわっ。

Kakinohazushi
(photo from here)

剪定したカキの枝が手に入ったので、煮出してみましたところ、まさに柿渋色の染液となり、アルミや銅で黄唐茶(きがらちゃ)色から渋紙色、そして特筆すべきは鉄媒染の千歳茶(せんさいちゃ)色の底光りする輝き。まさに神がかりの美しさです。

「柿」は秋の季語。「柿若葉」「柿の花」「青柿」は夏の季語。
花言葉は「美しい自然の中に私を埋めよ」「恵み」「優美」「自然美」
9/26の誕生花。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/カキ
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.kenseien.co.jp/kenkou/1247.html

・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵第87巻」寺島良安 / 著  島田勇雄/竹島淳夫/樋口元巳 /訳注 平凡社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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2016/09/27

リョウブ ・ 香り高きマホガニー・ブラウン

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【学名】  Clethra barbinervis Siebold & Zucc.
【英名】  Sweet pepper bush , Summer sweet
【別名】  ハタツモリ
【科】   リョウブ科

 

日本各地、済州島、中国山東省に分布。ただし、リョウブ属には数十種あり、アジアのほか、アメリカ大陸の熱帯・温帯に分布するものもあります。
木肌が滑らかなのが特徴。葉には産毛があり、縁に細かく鋭いギザギザがあります。葉が枝先に螺旋状につくので、上からみると、輪を描いているように見えます。夏に白い小花が華やかに房状につきます。

漢字では「令法」と綴ります。これは、若葉が食用になることから、救荒食糧として、採取、貯蔵をするよう令法が発令されたことに由来するそうです。平安時代から江戸時代には、飢饉に備えて若葉を蒸して乾燥して蓄えたといいます。
その他に花房の形を龍の尻尾に見立て、「竜尾(りょうび)」が転じたという説もあります。別名のハタツモリは「畑つもり」=畑の面積に応じて植え付ける作物の量のことを指しますが、このこととこの植物の関係はよくわかりません。牧野富太郎説では、「旗積り」。白い旗が数条重なりなびくの意であると。

和漢三才図会には「山茶科」「料蒲」の綴りで記述があり、「四月に若葉をつみ、よく水にさらして食べる。あるいは飯に混ぜたり、豆醤に和えたりして食べる。」とあります。実際、山菜として、春の若葉をそのまま天ぷらに、茹でて水か灰汁に浸してアクを抜き、ひたし物、いため物、汁の実、ご飯に混ぜてリョウブ飯などで楽しめるとのこと。古くから、リョウブを食べると「癪(しやく)を消して湿熱を去り、中を補うことができる」といわれています。

材は割れにくく、樹皮が美しいことから、床柱(和室の床の間)や器具材、庭木、公園樹に利用されます。

香りが高く、結晶しないことで知られるリョウブの蜂蜜は、5年に一度しか採れないとされ、珍重されています。
なぜ5年に一度?!・・・三浦の養蜂家・飯倉剛さんのお話によれば、花蜜源植物の花が蜜を出す(養蜂家の間ではこれを「吹く」というそうです)時、その量には波があるそうで、レンゲやクローバーのような一年草なら毎年量は安定しているそうですが、樹木の場合は当たり年、裏年があるといいます。リョウブは毎年花は咲くものの、蜂蜜を搾れるほど蜜を吹くのは5年に1度程度しかないということらしいです。5年もじっとためているわけですね。

小町にお住まいのCさんから、夏に花盛りのリョウブの枝葉をたくさんいただきました。煮出すと、びっくりするぐらいの赤い染液になり、どの媒染でも力のある強い色が染まりました。
アルミでアプリコットオレンジ、鉄で深い涅色(くりいろ)、銅では温かみのあるマホガニー・ブラウン。どの色も厚みがあります。

花言葉は「あふれる想い」。
春の季語。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/リョウブ
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵第84巻」寺島良安 / 著  島田勇雄/竹島淳夫/樋口元巳 /訳注 平凡社
・「よくわかる山菜大図鑑」今井國勝・今井万岐子/著 永岡書店
・お話 養蜂家 飯倉剛氏

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2016/09/25

エゴノミ・森の真珠はシルバーグリーン

Egonomi02 Ego01

【学名】  Styrax japonica Siebold & Zucc.
【英名】  Japanese Snowbell
【別名】  ロクロギ、チシャノキ
【生薬名】 摩厨子(まちゅうし=実) 
【科】   エゴノキ科

 

学名のStyraxは、古代ギリシャ語で「安息香」を表すstoraxに由来します。(安息香の木もエゴノキ科)
和名の「エゴ」は、実に毒があり、果皮が「えごい=えぐい」ところから。

初夏に香りのよい白い花を咲かせ、夏に小さな丸い実がぶらさがるようにつきます。
タヒチの海ではシルバー・グリーンの真珠がとれるそうですが、このエゴノミは、まさにそんなタヒチアン・パールの輝き。木になる真珠の風情です。

Tahitian_pearl_earings (写真出典)

この実の果皮には、エゴサポニンという成分が多く含まれ、そのため若い実は洗剤として洗濯に使われていました。また、エゴサポニンの毒性を利用し、絞り汁を川に流し、魚をしびれさせて捕る「毒もみ」漁にも使われたそうです。(この毒もみには、サンショ、クルミ、ウルシなども使われましたが、現在は水産資源保護法で全面的に禁止されています)

和漢三才図会には「山雀(ヤマガラ)が実を好んで食べる」とありますが、はて、ヤマガラはしびれないのかしら・・・?

シーボルトが幕末に記した「日本植物誌」にも、花の香りのよいこと、そのため自生だけでなく、寺社や庭園によく植えられることが記されています。

材は色が白く、弾力性があって丈夫で細工がしやすいことから、昔から天秤棒や蓑(みの)の縁に用いられたり、ろくろで細工するこけしや器、糸巻き、櫛、将棋の駒など生活の小物に様々に利用され、また建築材として皮付きのまま床柱にしたり、枝を茶室の天井材、窓格子材として用いられたりと用途はなかなかに広いですね。
番傘の骨を集めて開閉する円筒の部分(ろくろ)をこの材でつくったことが別名のロクロギの由来。

Bangasa_rokuro  (写真出典)

エゴノネコアシフシというアブラムシが実につくことで、実がバナナのような房状の虫こぶとなるのが面白いです。森の真珠、大化け。

Egononekoashi (写真出典)

小町の古い知人が、夏に、庭のエゴノキについた実を袋いっぱい届けてくださいました。

アルミまたはスズの媒染ででる、ほろ酔いの人肌のような水柿色が可憐です。銅で香染色、鉄媒染では、南洋真珠を思わせるシルバー・グリーン
エゴノネコアシで染めると、鉄で黒紫が染まります。

花言葉は「壮大」。「えごの花」で夏の季語。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/エゴノキ
http://www.e-yakusou.com/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「シーボルト日本植物誌 [本文覚書篇]」
  大場秀章 / 監修・解説 瀬倉正克 / 訳 八坂書房
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社
・「和漢三才図絵第84巻」寺島良安 / 著
  島田勇雄/竹島淳夫/樋口元巳 /訳注  平凡社
・「虫こぶ入門」薄葉 重/著 八坂書房

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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2016/09/24

アザミ・なめたらいかんぜよ、な黒緑。

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【学名】  Cirsium japonicum DC. (ノアザミ)
      Cirsium oligophyllum(ノハラアザミ)
      Cirsium nipponicum var. incomptum(トネアザミ)
【英名】  Thistle
【別名】  アザメ、ギザギザ、オニクサ(九州) センシンソウ(千針草)
【生薬名】 薊葉(けいよう=葉) 薊根(けいこん=根)
【科】   キク科

 

「アザミ」は、キク科アザミ属の総称で、春によく見かけるのはノアザミ、秋に花をつけるものにノハラアザミ、トネアザミなどがあります。お漬物が美味しいヤマゴボウはモリアザミの根です。ノアザミの根も味噌漬けやきんぴらがイケます。

名前の由来には、
(1)八重山語(沖縄方言)で棘のことを「アザ」ということから。
(2)花を手折ろうとするとトゲが刺さって驚くことから、「驚きあきれる」を意味する古語「あざむ」が語源になった。
(3)傷むとか傷ましいの意である古語「あざむ」に由来。・・・など諸説。
ちなみに、トネアザミの別名タイアザミの由来は、触ると「イタイ」ことから。(まんまやん!)

生薬では、花の咲く頃に全草を乾燥させたものを「薊(けい)」といい、オニアザミやヤマアザミを「大薊(だいけい)」、ノアザミやノハラアザミを「小薊(しょうけい)」といいます。
和漢三才図会には「よく結滞した血を流動させ、鼻血ゆ至急の不正出血をとめる」とあります。
煎じて服用すると利尿、解毒、止血、強壮に効果。特に根には止血効果大、また持続性の血圧降下作用も。

「薊の花も一盛り」という諺は、「目立たない女性でも年頃になればそれなりに美しくなる」の意味ですが、いやいや、アザミちゃん、花の咲く前もあとも、十分目立ってますから。野原では、葉っぱだけでも、たいそうなインパクトですから。

キリストが磔刑に処された際、キリストの体を打ち付けていた釘を聖母マリアが抜き、それを埋めた場所から生えたのがアザミと言われています。そのためキリスト教世界では聖なる花とされます。

1263年、ノルウェー王ホーコン4世が、北海諸島の領有権を巡って対立していたアレグザンダー3世統治下のスコットランドを大軍で攻撃。が、王城に近づいた斥候が、アザミの棘を踏んで悲鳴を上げたため奇襲が発覚し、スコットランドが勝利をおさめました。
この故事により、アザミはスコットランドの国花となったそうです。
国を戦争で勝利に導いた花ですか! あっぱれです。たしかにトゲトゲと痛いですし、そんな勇ましいエピソードには事欠かない感じですが、お花が咲くと不思議とおちゃめでガーリーな印象です。
スコットランドの荒風に鍛えられた鉄火肌の下町娘が、ノルウェーバイキングに向かって「一昨日おいでな、このスットコドッコイ!」と大啖呵を切ったという感じがぴったり。(笑)

昨今、アパレル業界用語で氾濫している「あざみ起毛」は、アザミの実を使って布の表面を起毛させることを指すとありますが、これは誤り。
アザミによく似たティーズル(マツムシソウ科のナベナ)の乾燥した実を繋いで作ったカーダーで起毛を施すことをいいます。
これはもともと、紡ぐ前の羊毛を梳く道具で、現在はスチールの針がついています。

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常磐にお住まいのYさんが、庭にトネアザミが咲いたと連絡をくださり、ひと株分の茎葉を花ごと頂いてきました。煮出しているとキク科の芳香が心地よく、染液は緑がかった黄色だったのですが、火をとめて濾したらみるみる黒く変色してきました。
その黒い液をそのまま写して、どの媒染でも小粋なグレーから緑味の黒。アルミ媒染で藍媚茶、鉄で山鳩色。銅媒染のウールの濡れ羽色が、まさに鉄火肌の粋。

 

花言葉は「権威」「触れないで」「独立」「厳格」「禁欲」「人間嫌い」「報復」「復讐」「満足」「安心」「批評家」
7/1・9/14・10/21の誕生花。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/アザミ
http://www.geocities.jp/greensv88/yasou-zz-toneazami.htm
http://rennai-meigen.com/azamihanakotoba/
http://members.jcom.home.ne.jp/tink
http://www.e-yakusou.com
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

(C) Tanaka Makiko    たなか牧子造形工房  禁転載

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2016/09/06

鎌倉染色歳時記・一覧表

鎌倉染色彩時記


あ段 い段 う段 え段 お段
ア行 アオキ
アカバナユウゲショウ
アカネ
アジサイ
アメリカセンダングサ
アンズ
イタドリ
イチョウ
イヌタデ
イヌビエ
イヌビワ
イラクサ
イラクサ(根)
インディゴ
ウメ
ウラシマソウ
オオバコ
オガタマノキ
オクラ
オシロイバナ
オトギリソウ
カ行 カエデ
ガマ
カモジグサ
カラスウリ
カラスノエンドウ
カラタチ
カリフラワー
カワズザクラ
ギシギシ
キショウブ
キツネノボタン
キョウチクトウ
キンモクセイ
クサイチゴ
クサギ
クズ
クスノキ
クチナシ
クヌギ
クマザサ
クリ
クロガネモチ
クワ
ゲッケイジュ コバンソウ
サ行 ザクロ
サトイモ
サルスベリ
サンゴジュ
サンショ
シダ
シロツメクサ
シャクヤク
シュロ
スイカズラ
スギナ
ススキ
セイタカアワダチソウ
セリ
センダン
ソテツ
タ行 タイサンボク
タマネギ

タラヨウ
タンポポ
チチコグサ
チャ
チョウメイソウ
ツタ
ツツジ
ツルニチニチソウ
トウダイグサ
トキワツユクサ
ドクダミ
トチノキ
トマト
ナ行 ナズナ
ナンテン
ニガヨモギ
ニワウルシ
ニンジン
ネコジャラシ
ネズミモチ
ノウゼンカズラ
ノゲシ
ノブドウ
ハ行 ハギ
ハコベ
ハスハハコグサ
ヒイラギナンテン
ヒガンバナ
ヒノキアスナロ
ヒメヒオウギズイセン
ピラカンサ
ヒルガオ
ビワ
フキ
フシ(ゴバイシ)
フジ
フヨウ
ブルーベリー
ヘクソカズラ
ベニカナメモチ
ベニバナ
ホオノキ
ホソバアキノノゲシ
ホトケノザ
ホンダワラ
マ行 マキノキ
マタタビ
マツヨイグサ
マテバシイ
マリーゴールド
ミズヒキ
ミソハギ
ミツマタ
ミモザ
ミョウガ
ムラサキケマン
ムラサキシキブ
モクレン
モッコク
モミジバフウ
ヤ行 ヤエムグラ
ヤシャ
ヤブカラシ
ヤブツバキ
ヤマノイモ
ユーカリ
ユキノシタ
ヨウシュヤマゴボウ
ラ行 ラベンダー ルドベキア
ワ行

 

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2016/09/05

マタタビ・骨抜きの黒紫

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【学名】  Actinidia polygama Planch. et Maxim.
【英名】  Silver-vine
【別名】  ナツウメ / マンタブ(青森/秋田)、コツフラジ(岐阜)、
      マタタンプ(アイヌ)、ネコナブリ(鹿児島)
【生薬名】 天木実(てんもくじつ=虫こぶ化していない実)
      木天蓼子(もくてんりょうし=虫こぶ化した実) 
        天木蔓(てんもくつる=蔓)
【科】    マタタビ科

 

北海道を含む日本全土の産地の林縁に見られる落葉つる性木本。雌雄異株。

夏に、半夏生のように、一部の葉が白くなるので、遠目にもよく目につきます。6〜7月に白い花をつけ、そのあと実を結びます。
正常果はナツメに似た形をしていますが、マタタビミタバエが実に産卵することで、マタタビミフクレフシという虫こぶとなります。

この虫こぶは秋に採取して、熱湯をかける、又は短時間蒸してから、天日で充分乾燥させたものを生薬で木天蓼(子)といいます。(正常果(天木実)より効能が高いとされる。)

和漢三才図会には「痛風による顔の痙攣、気塊(気の滞り)、女子の虚労を治す」とあります。

マタタビ酒の作り方
・木天蓼(もくてんりょう)500g
・ホワイトリカー1.8リットル
・グラニュー糖か氷砂糖またはハチミツ100g
これを広口瓶に入れて3〜12ヶ月冷暗所に漬け込む。

布でこしてから1回量0.15gを毎日朝夕2回に分けて服用すると、冷え性、神経痛、リューマチなどに効き目があり、利尿、強心の効果を表す。
※塩漬け、砂糖漬けでも同効果。

名前の由来には諸説あります。
1.疲れた旅人が、この実の香りで元気になり、「また旅ができる」ようになることから。

2.果実に2種類あるので(恐らく正常果と虫こぶ)「マタツ実(ツは休め字)」と読んだ。

3.アイヌ語の「マタタンプ」による。「マタ」は冬、「タンプ」は亀甲を意味し、冬に木にぶらさがる虫こぶの様子を意味している。

乾燥した茎葉を袋にいれて浴剤として用いると、保温、疲労回復、腰痛、熟睡安眠の効果あり。 若葉は、さっと湯がいて味噌和えに。

マタタビに含まれるマタタビ酸 という成分が、動物の神経中枢を麻痺させる働きがあり、これが俗にいう「猫のマタタビ踊り」を引き起こします。

2016年8月上旬、長野県茅野市を走行する車に乗せてもらっている時に、崖の山肌に、半分白い葉を茂らせた木を発見! もしやと思い、車をとめてもらって確認したところ、マタタビで大当たり!
しかも、虫こぶがゴロゴロなっている!

後日、改めて拾い集めてもらったそれらの虫こぶを煮だしてみました。五倍子の名で知られるヌルデの虫こぶやブルーブラックのインクの原料となる没食子など、虫こぶは鉄媒染で美しい黒が得られることが多いので、ワクワクして糸を入れてみたところ、期待に違わず、藤鼠から黒紫を染め上げました。染色人、メロメロ。もう、マタタビ踊り!(時間が経過したら、少し緑味に変化)

アルミでは蒸し栗色、銅では利休茶

量に対して、少し色が期待したより薄かったのは、採取してから3週間以上経過していて、かなり発酵していたせいかもしれません。この次はフレッシュをぜひ!

花言葉は「夢見る心地」。夏の季語。

参考サイト/文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/マタタビ
http://www.sansaikinoko.com/matatabi1/riyou.html
http://www.e-yakusou.com/
http://karinninja.janken-pon.net/
http://www.e-yakusou.com
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「虫こぶ入門」薄葉 重/著 八坂書房
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第84巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

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2015/09/08

タラヨウ・思いを運ぶ利休色

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【学名】  Ilex latifolia Thunb.
【英名】  Tarayo Holly
【別名】  ハガキノキ(葉書の木)、ユウビンキョクノキ(郵便局の木)、モンツキシバ、ノコギリシバ
【科】    モチノキ科

 

東海地方より以南の本州、および九州に自生する常緑高木。
学名にある「Ilex」は、西洋ヒイラギを表すラテン語。別名にもノコギリシバとあるように葉のふちに小さいですが、鋭いギサギザがあります。

タラヨウの名は、インドで、葉の裏を傷つけて経文を記したという「貝多羅樹」(バイダラジュ・ ヤシ科)と同じように、葉裏に文字が書けることから。

試しに、葉の裏に先の尖った木の棒で字を書いてみたころ、見る見るその部分が黒く変色して、鮮明に文字が浮き出てきました! 戦国時代には、戦場で情報伝達に使われていたという話も伝わります。これが「ハガキ(葉書)」の語源となりました。墨と筆がなければ文字が書けない時代では、これはかなり便利だったのではないでしょうか。この葉っぱにのせて、どんな思いが行き交ったのでしょうね。

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また、ロウソクの火で葉の一点を炙ると、その周りに黒い輪ができます。これを円紋、または死環といい、これによって吉凶を占う習慣があったことから、よく寺社に植樹されました。試してみたのですが、うまく輪ができませんでした。これはどういう占いのお告げでしょうか・・・。

和漢三才図絵では、「戯れにその葉を採り、小さな火燼(おき)を暫く葉の上に置くと、その痕は環となり、文(もよう)は火の大きさの倍になる。これもまた貝多羅の類であろうか。現今では多くの人家の庭園に植えている。」の記述が見当たります。冬も蒼々と葉を茂らせるので、江戸の人には人気だったようです。

中国四川省では、タラヨウの葉を「苦丁茶」という健康茶として飲用するそうです。

鎌倉の古刹・覚園寺の境内にタラヨウの木が一本あり、以前ご住職が、葉書の語源になった木だと教えてくださったのを思い出して、お願いして少し枝葉を分けていただきました。煮出すとフローラルな芳香が漂います。どの媒染でも、くすんだ地味な色合いですが、アルミで媒染した利休色の、曖昧なやさしさが、妙に心に響きます。また、鉄媒染で得た青みを帯びた灰色も薄墨のようで美しいです。

花言葉は、「伝える」。

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参考サイト/文献

http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/タラヨウ
http://tanpure.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「和漢三才図絵」 第83巻
 寺島良安 / 著 島田勇雄/竹島淳夫/樋口元巳 /訳注 平凡社

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2015/09/07

ムラサキケマン・毒食らわば璃寛茶

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【学名】   Corydalis incisa
【英名】   Murasaki-keman
【別名】   ヤブケマン(薮華鬘)、タイツリソウ(鯛釣草)
【科】   ケシ科

日本原産。中国にも自生します。学名のCorydalis(コリダリス)は、ギリシャ語のKorydallis(雲雀:ひばり)」が語源。そういわれてみれば、花がヒバリがぴーちくぱーちくしているように見えるような気もしますが。

鎌倉では、木陰や崖下などの、直射日光を避けた場所によく生えています。日本各地に生育する一年生草本。葉がニンジンに似ていて、秋に芽生え、春にマメ科の花のような紫色の花を咲かせます。

漢字では「紫華鬘」。
華鬘とは、仏教のお供えの花飾りのひとつで、仏堂の内陣の欄間などにぶら下げます。金属でできたものなどが多いです。花の咲いたときの風情がこの華鬘に似ていることからこの名になったようです。別名のタイツリソウ(鯛釣草)は、花茎一本に花がたわわに釣り下がって咲く様が、鯛が釣竿にぶら下がっているように見えることから。

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写真出典  愛知県春日井市 密蔵院蔵 華鬘十二流(面)

こんなに可憐な風情ですが、なんと全草が有毒。有毒成分は、アルカロイドのサングイナリン、テトラハイドロコリサミン、コリサミンなどと、けっこうな顔ぶれです。

死に至ることはないものの、誤食すると、涙と唾液の分泌が増えて嘔吐、酩酊状態、昏睡、呼吸困難や心臓麻痺で痙攣(けいれん)を起こしたりと、かなりゴージャスな中毒症状がでます。さすがケシ科。

なのに物好きもいるもので、ウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)の幼虫の食草なのです。このためウスバシロチョウも有毒となるといいますから、怖いですねぇ。吸血鬼に噛まれて自分も吸血鬼になっちゃうのと同じですよ。

煮出していると、甘ったるい不思議な香りがします。前述の中毒症状を鑑みますと、あまり嗅がない方がいいかもしれません。

毒草はいい染料になることが多いので、かなり期待して染めてみましたが、あら、意外と普通。銅媒染の璃寛茶色、鉄媒染の海松色が堅牢な様子です。

花言葉は「助力」「あなたの助けになる」。

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参考サイト

http://had0.big.ous.ac.jp/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/ムラサキケマン
http://www.hana300.com
http://members.jcom.home.ne.jp/tink/
http://www.e-yakusou.com/
http://www.geocities.jp/yunakisaragi/

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