鎌倉染色彩時記(染)

2022/09/24

ケヤキ・美は強し、な黄金色

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【学名】  Zelkova serrata Makino
【英名】  Japanese zelkova
【別名】  槻(つき) 
【科】    ニレ科 

朝鮮半島、中国、台湾と日本に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する落葉高木。

暖地では丘陵部から山地、寒冷地では平地まで自生します。特に関東には多くみられ、武蔵野を代表する高木だそうです。(武蔵野はムラサキグサも有名ですね。)

古い日本語の形容詞「けやけき」。尊い、美しい、優れた、といった意味があるそうですが、樹形の美しさ、秋に黄色から赤に変ずる紅葉の美しさから「けやけき木」と呼ばれていたものが「ケヤキ」に転じたと言われています。

別名の「つき」は「強い木」から。
木に勢いがあり、巨木となりやすく、また1000年を超えるものもあることから古くから神聖視され、「日本書紀」には飛鳥寺のケヤキの木の下で重要ごとが執り行われたという記述もあります。

材が硬く、水に強いこともあって、昔から建築材として用いられてきました。
奈良の唐招提寺、京都の東西本願寺、清水寺の舞台、皇居桜田門もケヤキ製だそうです。
天然記念物となっている銘木も多いですね。 「高槻」などの地名も、大きなケヤキのある場所、ということかもしれません。

漆塗りの木地、家具などにもよく用いられます。

和漢三才図会によれば、中国で「欅」はクルミ科カンポウフウをさします。こちらも材が良質なことで知られ、葉はアマ茶となります。 
同書には①真槻 ②槻欅  ③石欅の3つのケヤキが紹介されています。

「槻欅(つきけやき)は材としては良質ではないが、「槻弓」の言葉がある通り、弓を作るのによいらしい。石欅(秋ニレ)は、材が一番硬い。」などの記述が見つかります。
この時代の分類の基準は、現代の植物学とは異なるので、今の「ケヤキ」がどれをさすのかを判断するのはちょっと難しいです。が、いずれにしても、姿が美しく、強い木、ということで間違いないでしょう。(ごーいんな括りですみません・・・)

その神聖さ、用途の広さから、無駄遣いを戒めるためか、ケヤキにまつわる俗信が各地に伝わります。
・ケヤキが一斉に芽ぶかぬ年は、晩霜がある(広島、群馬など)
・ケヤキの薪を3年焚くと目が潰れる(長野)

「強い木」は、硬く、雨に強いことを意味しますが、総じてそうした木はタンニン質を多く含むため、染料として優秀なものが多いです。

ありがたいことに、工房には仲間たちから「これ、使える?」といって、折々いろんなものが届きます。
水曜日の染めの教室では、そんな貴重な頂き物、小田原の木工所から届いた欅(けやき)のけずりカスを煮出しました。

ケヤキも「強い木」の例に漏れず、どの媒染でも、絹、ウール、綿麻のいずれも押し出しの良い堅牢な色を染め上げました。
アルミでは神々しいほどの黄金色、銅で黄色味の濃茶、鉄で濡れそぼる藻の色

花言葉は「幸運」「健康」「長寿」。12月21日の誕生花。


◎参考サイト 文献

http://www.hana300.com/
https://ja.wikipedia.org/wiki/ケヤキ
https://greensnap.jp/article/8622

・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

 

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2022/09/12

マルバルコウソウ・かわいいけど仙斎茶

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【学名】  Quamoclit angulata Bojer, Ipomoea coccinea L.
【英名】  Red Morning Glory、Redstar, Mexican Morning Glory
【別名】  ルコウアサガオ
【生薬名】 
【科】   ヒルガオ科 

南米原産のつる性一年草。
幕末に観賞用で持ち込まれたものが日本各地で自生するようになりました。

学名のQuamoclitは、ギリシャ語の「kuamos(マメ)」+「klitos(低い)」の意で、マメに似た蔓性の植物を表します。

葉が櫛状になった同類のルコウソウ(縷紅草 Ipomoea quamoclit)は、さらに古くに持ち込まれたようで、和漢三才図会にも記載されています。
鉢植え、垣根などに仕立てるなど、園芸用として人気。、やはり、現在では各地で自生。

つるを伸ばして、他のものに、左巻きに絡み付いて、3m程度に伸びます。葉は互生、長い柄があり、心形で無毛、先端はピッと尖っています。

夏から秋に、葉腋から柄を出して、先端にロート状の朱紅色の小花を数個つけます。
工房にほど近い空き地の金網フェンスにこのマルバルコウソウが絡み付いていて、夏の終わりに赤い点々が遠目にもくっきりと目に飛び込んで来ます。サルスベリとか、ザクロとか、ノウゼンカズラとか、そしてこのマルバルコウソウも、夏に咲く花なんと力強いことでしょう!特にこのマルバルコウソウは鬱蒼とした濃い緑の中に、きりりとした紅色の星形の花が飛ぶ様子が、たいそう可憐です。


ルコウソウ、マルバルコウソウともに 民間療法では痔の薬、解熱剤として知られています。
夏に全草、根を採取して、水洗いして刻み、天日で乾燥させたものを煎じて服用するとよいそうです。

つると葉を煮出してみました。アルミで白つるばみ、銅でオリーブグリーン、鉄では緑味のグレーから仙斎茶。花の咲く前なら、緑にもっと冴えがあるかもしれません。可憐な様子に反して、かなり渋いラインナップ。

ルコウソウ全般の花言葉は、「おせっかいな人」「私は忙しい」「常に愛らしい」「世話好き」。
8/10・8/11の誕生花。

http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/マルバルコウ
http://www.memidex.com/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「色の手帖」小学館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 第96巻

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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2022/08/26

藍の生葉染め

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8月の染め教室。その2。

藍の生葉染め。

今年も裏庭の畑の一角に、藍のタネを蒔きまして、無事、虫に食われることなく育ちました。
いつもは収穫した葉は乾燥させて、還元剤と一緒に煮出す方法で染めていたのですが、今年は生葉で染めました。

ちょー簡単。

刻んだ生葉を水と一緒にミキサーに入れて濾します。
その汁に浸けるだけ。媒染も不要です。
気をつけるのは、汁が酸化する前に手際よく染色することぐらい。

絞り上げて空気中で酸化させるとだんだん青くなってきますが、それでは十分でない場合は、オキシドールをいれた水に入れると一気に青くなります。

残念ながらあまり堅牢度はよくありませんが、その清涼感あふれる色合いをしばらく楽しむには十分ですね。

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2022/08/24

豆汁でござる。

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8月の染め教室。今日は盛りだくさんの内容でした。

その1。

いつもは基本的に浸染を行なっていますが、「絞り染以外にもっと布に模様をつけてみよう」ということで、顔料をつかった手描き、簡単な型染め、版押しに取り組みました。

顔料とは岩絵の具、つまり、鉱物や貝などを粉にしたものです。
日本画ではこれを膠(にかわ)に溶いて使いますが、染色の世界では豆汁(ごじる=豆乳)をバインダーとして使います。

沖縄の紅型がこれです。
「染める」というより「ペイントする」という感覚ですね。

前の晩から水につけておいた大豆を水と一緒にミキサーにかけて、豆汁をつくりました。

 

 

 

これに「にがり」を入れればお豆腐ができます💕
で、濾したカスは「おから」です。手絞りのおからは旨味が残っていて美味しいのです💕
さっそく夕飯に。


余ったDMのハガキで型を彫ったり、おしゃれな穴あけパンチで型抜きしたりして版をつくり、刷毛で刷り込んだり。生徒さんがインドネシアで特注したバティックの型で版押ししたり・・・今日は思い思いに実験しました。
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いつもの浸染と組み合わせて、少しずつ作品にしてゆきたいと思います。

嗚呼、おから、美味だった。

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2022/08/18

イソギク・海辺の涙は支子色

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【学名】  Chrysanthemum pacificum, Dendranthema pacificum
【英名】  Chrysanthemum pacificum
【別名】  イワギク(岩菊)  
【科】   キク科 

関東、東海地方、伊豆諸島の海岸の崖に生える多年草。日本固有種です。園芸種としても人気で、栽培もされています。10〜11月に小菊のような黄色い花が集まって咲くのが、かわいいです。

何年か前の夏に、ルート134号線沿いの稲村の切り通し付近に、染色用のヨモギを取りに行ったところ、なんか、ヨモギの群生の中にちょっとみなれない一群がいて、調べてみたら、このイソギクでした。

学名の「Chrysanthemum」は、英語で「菊」を表す言葉ですが、もともとラテン語で、「chrysos(黄金色)+anthemon(花)」が語源。「pacificum」 は「太平洋の」の意。

イソギクにまつわるある民話があります。

静岡県伊東市城ヶ崎海岸の、門脇の吊橋の山側にある崖と崖の間の狭い入り江(浜)を「半四郎落し」という。
昔々、城ヶ崎海岸門脇岬に近い富戸村に、半四郎とおよしと仲のよい夫婦が住んでいた。
ある日、半四郎はひとり海へ「トジ」(しっくい壁に使う海草)を採りに出かけた。その日は潮も引き波も静かで半四郎は背負い籠いっぱいのトジを採ることができた。
帰途についたが途中、崖の上でしばらく腰を下ろして休んでから、「さて、帰ろうか」と、腰を伸ばした瞬間、背中のトジの入った背負い籠に引かれ「あっ」という間に崖下の海に転がり落ちてしまった。
村人から半四郎が亡くなったことを聞いたおよしは、それはそれは悲しみ、毎日のように半四郎が亡くなった崖の上に立っては涙を流す日が続いた。
以来、城ヶ崎一帯の磯には、毎年秋になると風に飛び散ったおよしの涙にも似た黄色く可憐なイソギクの花が咲くようになり、半四郎が亡くなったところを「半四郎落し」と呼ぶようになったという。


134号線沿いで摘んだとき、キク科独特の強い芳香が漂い、煮出すとさらに香りました。どの媒染でも大変堅牢な押し出しの良い色を染め上げました。
アルミで支子色(くちなしいろ)、銅で桑茶色、鉄で濃い海松色(みるいろ)。                 

花言葉は、「清楚な美しさ」「感謝」「静かな喜び」「大切に思う」。
10/10,11/17の誕生花。

◎参考サイト / 文献
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/イソギク
https://minhana.net/wiki/イソギク
http://www.weblio.jp/
http://www.language-of-flowers.com/hana/se-434/

 

 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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2022/08/05

アオギリ・鳳凰のすみかは山鳩色


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【学名】  Firmiana platanifolia (L.f.) Schott et Endl,
      Firmiana simplex (L.) W.F.Wight
【英名】  Chinese parasol tree, Phoenix tree
【別名】  梧桐(ごとう)、蒼梧(そうご)、碧梧(へきご)、ケナシアオギリ
【生薬名】 梧桐子(ごとうし=実) 梧桐葉(ごとうよう=葉)
【科】   アオギリ科

中国南部、東南アジア原産の落葉広葉高木。沖縄に自生するほか、日本へは奈良時代に渡来し、広く各地に植えられました。
本州、四国、九州にも分布し、伊豆半島や紀伊半島などの暖地に野生化した状態でみられることもありますが、塩害や、大気汚染にもよく耐えるので、街路樹や庭木などにして植えられているものが多いです。
近年は温暖化の影響か、鎌倉周辺でも実生のアオギリを時々見かますね。

キリ科のキリを「白桐」と呼ぶのに対し、大きな葉が桐に似て、幹が蒼いことからこの名があります。
7月中旬に黄色い花をつけ、秋にグリンピースのような実をつけます。さく果の一辺に種がツブツブとくっついているのがちょっと不思議です。
20181002kosugi_13 (写真出典)

葉と実が薬用となることが知られています。葉は、春~夏まで採取して、細かく刻んで天日で乾燥して、ミキ サーで粉末にして保存。種子は、10~11月に熟した果実を採取してたたいて種子を集めて天日で乾燥させる。血圧降下、動脈硬化予防には、葉の粉末に熱湯を入れて、1日3回食後に飲用。
腹痛・胃痛には、乾燥した種子10グラム水0.6リットルを煎じて1日3回に分けて服用すると、即効で症状が改善するといいます。飲み続けると健胃の効果あり! 炒ってつぶしたものを含むと口内炎や咳止めにも。

また、種子を潰して白髪に塗ると毛が黒くなるとも。・・・まじで?! 

材は柔らかく細工しやすいので、昔から家具、楽器、下駄などをつくったそうです。和漢三才図会にも「山間に生えたもので楽器をつくる」の記述が見当たります。
そういえば、中国の「古琴」は伝統的にアオギリで作られることで知られていますね。

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故宮博物院蔵 の古琴・「大聖遺音」(唐朝肅宗元年(756年) )


びっくりなのは和漢三才図会のこれ。
「梧桐は月日の正閏を知るという。葉は十二生え、一辺に六葉ある。下から数えて一葉を一月とし、上は十二月に至る。閏のある年は十三葉生え、小さな葉を閏とする」という遁甲術の書の一説を紹介しています。
これはすごい! カレンダー・ツリーですか! 今度じっくり観察してみることにしましょう。閏年は13枚・・・絶対だな、アオギリ!

中国の故事では、アオギリは鳳凰が棲むとされています。このことを受けて、日本の花札に「桐に鳳凰」の一枚がありますが、ここに描かれているのはアオギリではなく「桐」。いつの間にか入れ替わってしまったんですね。

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毎年、自宅の庭の片隅に夏になるとぼぼーんと大きな葉を広げてすくすく育つ実生のアオギリがありまして、煮出してみました。青黒い液からは、
アルミで榛色(はしばみいろ)、銅で肥後煤竹色(ひごすすたけいろ)、鉄で山鳩色が得られました。


花言葉は「秘めた意思」「秘めた恋」「逞しい」。9月3日の誕生花


◎参考サイト / 文献

https://ja.wikipedia.org/wiki/アオギリ
http://www.e-yakusou.com
http://www.hana300.com
http://yamasakuran.seesaa.net/article/484834948.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 

 
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2022/07/28

ヤマボウシ・僧兵は璃寛茶色

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                   ※実の写真出典



【学名】  Cornus kousa , Benthamidia japonica,
      Cynoxylon kousa Nakai 
【英名】  Kousa Dogwood, Japanese Flowering Dogwood
【別名】  ヤマグワ, イツキ, カラグワ

【科】   ミズキ科 

本州、四国、九州及び朝鮮半島、中国に分布。学名の「kousa」は、 昔の箱根の方言でヤマボウシを「クサ」と呼んだことに由来するそうです。「Cornus(コーナス)」は、ラテン語の「cornu(角)」が語源。材質が堅いことから。
ヤマボウシ(山法師)の名は、淡黄緑色の丸い蕾(つぼみ)を、比叡山の僧兵の頭に見立てて、白い4枚の総苞片を、頭巾に見立てたところから。

・・・なるほど。
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(鎌倉もののふ隊 名物「もののふツアー」で弁慶に扮した参加者)



ただ、シーボルトは「山帽子」と思っていたらしく、シーボルトの「日本植物誌」には、「山の帽子という名が示す通り、高地を原産とする。」という記述が見当たります。
(シーボルト先生、けっこうこの手の間違い、やらかしてるのよねぇ・・・。)

秋に赤く熟した実は、ビタミンやカロチン、アントシアニンなどを含み、滋養強壮や疲労回復などの効能があるといわれています。果肉がやわらかくマンゴーのような甘さがあるそうです。果皮も熟したものはとても甘く、シャリシャリして砂糖粒のような食感があるとか。食べてみたいなあ。写真で見る限り、確かにちょっと、トロピカルフルーツの雰囲気を醸し出しています。果乾燥させてから利用すると、下痢や腹痛にも効くそうです。やるじゃん、弁慶さん。

ジャムや果実酒としても楽しめます。

<<果実酒の参考レシピ>>

● ホワイトリカー 実の3倍の量
● 氷砂糖 ホワイトリカー1Lに対して100g
● レモン 1/4個3ヶ月ぐらいで実を取り出し、布でこして寝かせておく。


ちょうど花盛りの時期に、北鎌倉のとあるお宅から枝葉を貰い受け、煮出してみました。
1時間ほどで、大変濃い液となり、どの媒染でもとても堅牢で透明感のある冴えた色を染め上げました。アルミで強い芥子色、鉄ではくっきりした濡羽色(ぬればいろ)。銅媒染の璃寛茶色が特に美しいです。

花言葉は、「友情」。 
6月15日の誕生花。
夏の季語。


◎参考サイト /文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマボウシ
http://www.e-yakusou.com/
http://www.hana300.com
・http://100kajiten.net/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「シーボルト日本植物誌 <<本文覚書篇>>」
  大場秀章 / 監修・解説 瀬倉正克 / 訳 八坂書房

 

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2022/07/25

カナムグラ・王毅の黒緑

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【学名】  Humulus japonicus, Humulus scandens Merrili 
【英名】  Japaese hop
【別名】  クワムグラ(鍬葎)
【生薬名】 葎草(りつそう)
【科】   アサ科(以前の分類ではクワ科)


夏になると、鎌倉のちょっと油断している空き地には、この軍団がはびこる・・・。

麻の葉に似た大きな葉をトゲトゲと茂らせ、次々と他の植物に巻きつき駆逐してゆく様は、キングダムに出てくる王毅将軍の隊のよう。強い、強すぎる! 来ないで、来ないでー。

日本各地、および中国に分布。原野、荒れ地などに容易に繁殖します。「カナ」は「鉄」の意、「ムグラ(葎)」は茂みを表すことからも、強靭で繁殖力が旺盛であることがわかります。

雌雄異株。ビールの原料であるホップと同じ仲間で、秋に雌花が咲いた後には、ホップのような実がつきます。
万葉集には「むぐら」「やえむぐら」の名前で登場しますが、現在は「ヤエムグラ」は別の植物を表します。

Yaemugura01 かわいいもんです。ヤエムグラのお話はこちら

全体に細かいトゲ状のイガイガがあり、素手て触ると、痛い!
これが、他の植物に絡みつくのに役立って、どんどんのびる! 王毅将軍、止まりません。

見た目はこわいけど、王毅将軍のように人に寄り添う優しさも。葉、茎、果実ともに薬用に用いることができます。

夏~秋に地上部を刈りとり天日で乾燥。 これを生薬(しょうやく)で、葎草(りつそう)といいまして、煎じて服用すれば健胃、利尿、解熱に効果。たむしには乾燥葉を粉にしたものを酢で練って塗布します。
初夏の若い芽と葉は食用となるそうですが、ま、やめておこうかな。怖いから。

欧米では、実から採れる油を石けんの原料にするそうです。見た目は油っ気ゼロですけどね。

勢いよくのびるつると葉を、怖いけど勇気を出して煮出してみました。
その怖いほどの力強さを見事に映し出した黒々とした液となりまして、アルミで芥子色、銅で強い銀煤竹、鉄で緑味の黒

花言葉は、「強い人」。・・・でしょうとも。


◎参考サイト / 文献

http://www.hana300.com/
http://www.e-yakusou.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/カナムグラ
http://www.pfaf.org/
http://www.weblio.jp/
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館
・「季節の野草・山草図鑑」高村忠彦/監修  日本文芸社
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社

 

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2022/07/24

シシトウ・畑の王様は女郎花色

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【学名】  Capsicum annuum var. angulosum
【英名】  shishito pepper, sweet green pepper 
【科】     ナス科 

中南米原産。ヨーロッパ人のアメリカ大陸発見後、南米からヨーロッパに入り、その後世界に広がったそうです。

学名のCapsicum(カプシカム)は、ギリシャ語の 「capsa(袋)」が語源。
正式名はシシトウガラシ(獅子唐辛子)。ナス科トウガラシ属に属するトウガラシの甘味種。
植物学的にはピーマンと同種です。

タバコとともにポルトガルからもたらされた唐辛子(当時は南蛮胡椒と呼ばれていました)を、古くから品種改良して辛味のないものを栽培してきました。
ポルトガル語で唐辛子を表すpimenta(ピメンタ)からこの改良種をピーマンというようになりましたが、その後、明治期に渡来したものもピーマンと呼ぶようになり、現在は区別するために前者をシシトウと呼んでいるわけです。
(ピーマンの語源についてはフランス語のpiment(ピマン)とする説のほうが一般的ですが、タバコとともに入ってきたことを考えると、ポルトガル語のワウが自然な気がします)

βカロテン、ビタミンC、カリウムなどを豊富に含む、緑黄色野菜。 切らずにそのまま食べられるので、焼き物、炒め物、揚げ物などに幅広く利用できます。

10年前から家庭菜園をしていますが、腕のよくない素人の私でも、春から夏に毎年育てるシシトウは失敗なし。ホイホイとほんとうによく採れます。ありがたい、ありがたい。

果実にはトウガラシと同じ辛味成分の「カプサイシン」が微量に含まれています。
この辛味成分は、栽培中の急激な気温の上昇や乾燥などで、強いストレスが加わると突発的に強くなると考えられています。

実際、山のように採れるシシトウの、10本に1本ぐらい、ちょー辛いのに当たることがあります。シシトウ・ロシアン・ルーレット。

辛い果実は一般的に、外観に光沢がなく果形によじれ・ちぢれ等がある、緑色が濃くシワが少ない、硬いなどの傾向があると言われていますが、必ずしもそうではないような・・・。

昨年。秋になっても衰え知らずのシシトウ。そろそろ冬の畑の準備にはいらなければならないので、一株抜いて、茎と葉を煮出してみました。

透明感のある黄色の液からは、アルミで明るく柔らかな女郎花色(おみなえしいろ)、銅で白緑(びゃくろく)、鉄で青白橡(あおしろつるばみ)。
今年も染めてみたいと思います。

花言葉は「厄介な感情」トウガラシ全般では「旧友」「雅味」「辛辣」「嫉妬」。


◎参考サイト / 文献

http://ja.wikipedia.org/wiki/シシトウ
http://www.hanakotoba.name
http://www.hana300.com/
https://ja-kochi.or.jp/
・「和漢三才図絵」/寺島良安 第89巻
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 1」 北隆館


 (C) Tanaka Makiko たなか牧子造形工房  禁転載

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2022/07/22

アカメガシワ・万葉の黒紅色


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【学名】  Mallotus japonicus (Thunb.) Müll.Arg.
【英名】  Japanese Mallotus
【別名】  ゴサイバ、アカメノキ,ヒサギ
【生薬名】 野梧桐(やごとう)、梓(じん)
【科】   トウダイグサ科

秋田県から沖縄、朝鮮、台湾、中国に分布。
別名のゴサイバは、この葉の上にごはんを盛つけたことに由来するそうです。

梅雨時あたりから、植えた覚えもないのに、植えてもらったかのようなデカイ態度でニョキニョキとあちこちに顔を出し、トウダイグサ科であるということは「草」のはずなのに、夏になると、りっぱな「木」に成長するという、天上天下唯我独尊、自己肯定感ばっちりのマイペースなお方。

文献を繙きますと、なんと日本を代表する植物染料の一つで、万葉のころから染色に使用されていたことがわかりました。
10月から11月にかけてよく茂った葉を収穫し、太陽に干して保存します。しっかり乾燥しておくと1年中いつでも使える染料になるそうですよ。
古くからいろいろな植物と併用し、味わいのある黒やグレーを染めていたらしいです。

また、漢方薬としても重宝されていました。
夏に葉または樹皮を採取して、日干しにします。樹皮は6月~7月に採取し日干しにして乾燥。(冬季の採取は、アレルギー症状を起こすことがありますので注意が必要です。そこは何と言っても毒草であるトウダイグサ科なのね)

消炎鎮痛薬として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症、はれものなどに用います。民間では樹皮よりも赤い新葉と新芽、赤い葉柄の干したものを煎服したほうが、胃がんや胃潰瘍に効き目があるとされそうです。アカメガシワの葉100グラムにアケビの葉または、つる20グラム、スイカズラの葉20グラムを煎服すると、はれものや「よう」にはとくに効果があるとされています。

動物実験でも胆汁分泌促進、かいようの予防に効果が認められたといいますから、効果は大いに期待できそう。私の胃痛にも効くかなぁ。

葉、茎、樹皮を浴剤として使用すれば、あせもや皮膚病、リューマチ、神経痛に効果。

和漢三才図会には、「材は潤うときはもろく、乾燥すると固くなる。良材。碁盤、すごろく盤をつくるとよい。」などの記述が見当たります。

実生で生えだして若いアカメガシワの枝(茎)と葉を煮出してみました。アルミで黄色各種。銅でうぐいす色から抹茶色。古代から染められていたという黒は鉄媒染で。紫がかった深い黒。古代色で言うところの黒紅色がひときわ美しいです。

花言葉は「忠実」「澄んだ心」「繊細」。


◎参考サイト / 文献

http://blog.goo.ne.jp/frauyamada
https://ja.wikipedia.org/wiki/アカメガシワ
http://www.kigusuri.com/kampo/terada/
http://www.hana300.com
http://blogs.yahoo.co.jp/cobaltgreen2000/12312772.html
・「原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版 2」 北隆館
・「花と樹の事典」木村陽二郎 / 監修 柏書房
・「色の手帖」小学館
・「よくわかる樹木大図鑑」平野隆久/著 永岡書店
・「薬草図鑑」伊沢凡人・会田民雄/著 家の光協会
・「草木染め 染料植物図鑑」 山崎青樹/ 著 美術出版社
・「和漢三才図絵」寺島良安 / 著 
・「和漢薬」赤松 金芳 / 著医歯薬出版株式会社 

 

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